九天社の跡地です…
2001.8.29-2008.6.10


ウィキペディアで何が起こっているのか
変わり始めるソーシャルメディア信仰

 表紙

誰も知らなかった
ウィキペディアの
真実の姿を探る!

ウィキペディアを編集しているのは誰なのか?
管理しているのは誰なのか?

ウィキペディア日本語版、その運営は謎に包まれている。本書では、ウィキペディアのまつわる疑問を明らかにし、さらにはソーシャルメディアが抱える問題に切り込んでいく。


※在庫があれば上記サイトで
 入手できます。

[著]山本まさき/古田雄介
[監]

[価格]1,995 円(税込)
[判型]A5判/228頁
[初版]2008/05/16 
[ISBN]978-4-86167-232-3

 本書について

 ネットで調べものをしようとして検索サイトで検索したとき、「Wikipedia」という文字の入った検索結果を目にすることが、数年前から随分と増えたのではないでしょうか。
 Wikipedia(ウィキペディア)という名称は、ウィキペディアが使用しているソフトウェア「Wiki(ウィキ)」と、百科事典を意味する「encyclopedia(エンサイクロペディア)」から合成されたものです。
 史上最大の百科事典をインターネット上に実現しようとするこのサイトはアメリカで生まれ、最近では日本でも急激に利用者が増加し、一説には一千万人を超える人たちが閲覧しているといわれています。
 今では日本でも市民権を得ているウィキペディアですが、多くの方は出来上がったウィキペディアのコンテンツをしばしば目にする、あるいは「誰でも自由に編集できる百科事典」というコンセプトを知っているという程度ではないでしょうか。実は、かくいう私もこの本を書こうとするまではそうでした。
 英語版のウィキペディアは多くのメディアに取り上げられ、運営の姿も明確です。一方、日本語版はまだ発展途上にあり、その運営体制を取り上げた報道も少なく、その実態は謎に包まれているようにすら見えます。そのことが、ウィキペディアを身近なものとして認知する上で、ひとつのハードルとなっています。
 しかしながら、日本語版のウィキペディアは、急速な規模の拡大に運営がついていかず、現在さまざまな問題や課題を抱えています。よくも悪くも、それらの問題を多くの人たちの力で改善していかなければならない状況にあります。にもかかわらず、ウィキペディアに対する理解は、決して広まっているとはいえないのが現状です。
 そこで、この本を通じてウィキペディアにまつわる疑問を明らかにし、日本語版ウィキペディアが抱える問題を多くの方々に知っていただきたいと考えました。さらには、本書をウィキペディアのライトユーザー、ヘビーユーザー、管理者、そしてウィキペディアを利用するあらゆる人たちの対話と情報公開の場所とすることを目標として、執筆しました。
 そのため今回の執筆に当たり、私ひとりの視点だけでなく、できるだけ多くの視点を盛り込もうと、ウィキペディアの現役管理者、ウィキペディアから実際に被害を受けてしまった人、ネットの問題に詳しい弁護士、さまざまな方々にご協力をいただきました。そしてこの本の執筆自体、視点の異なる二人で分担しました。
 実は私自身は、ウィキペディアに極めて批判的な立場の人間でしたが、こうした方々のご協力のおかげで、中立的な視点の本になったのではないかと自負しています。実際、執筆中に私のウィキペディアに対する印象は、当初の批判的なものから中立的なものへと変わっていきました。
 みなさまにもこの本を通じて、さまざまな視点のウィキペディアを知っていただければ幸いです。

山本まさき
2008 年5 月

 目次

01 ウィキペディアとは

ウィキペディアの何が画期的だったのか
ウィキペディアの運営母体
ウィキペディアのユーザー
ウィキペディアの管理者とは
  ウィキペディアにおける管理者の位置付け
  ビューロクラットとスチュワード
ウィキペディアの法律、方針文書
ウィキペディアの対外窓口

02 ウィキペディアで起きた事件

ウィキペディア日本語版の方針とガイドライン
  全言語版共通の重要項目
  日本語版の方針
  日本語版のガイドライン
ウィキペディアでできる編集操作
行動についてのトラブル事例
  楽天証券の当事者編集事件
  「西和彦」ページの大幅削除問題
  女性モデルに関する誹謗中傷放置問題
  声優ページ、埋め尽くし事件
  ジミー・ウェールズ氏による自身の記事の編集
  「初音ミク」削除問題
  「ちゅるやさん」騒動(AA 掲載の問題)
  大学による学生のウィキペディア引用禁止措置
  静岡新聞の無断転用事件

  COLUMN:IP ユーザーの匿名性は存在しない

  ソニー vs マイクロソフト編集合戦
  省庁によるウィキペディア編集問題
  長妻代議士に対する作為的な編集
  イオンド大学、項目白紙化事件
問題視されるアカウントユーザー
  ユーザー「Peace」
  ユーザー「Netanotane」
  ユーザー「Noda,Kentaro」
  ユーザー「41」
  ユーザー「毛が生えた程度」
  ユーザー「音声おじさん」
  ユーザー「宮森洋」

03 ウィキペディアの管理は問題山積み

治外法権ウィキペディア
  流入する悪意への対策
  ウィキペディアと2 ちゃんねる
  発信者情報開示請求への対応
ウィキペディア管理者の誕生
  “特別な存在ではない”管理者
ウィキペディアは本当に中立を維持できるのか
  イオンド大学、項目白紙化事件の顛末
  ウィキペディアの存続か社会正義か
  ウィキペディアには気骨がない
その書き込みの責任は誰にあるのか
  本人責任と匿名性
  ウィキペディアの匿名性
独裁者を嫌う思想
  割に合わない「管理者」という仕事
  「バーンスター」というインセンティブの仕組み
  派閥闘争が残したもの
ソーシャルメディアに内在する欠点と次なる脅威
  情報は一度は公開される
  次なる脅威「ウィキペディアスパム」

04 それぞれが考えるウィキペディア日本語版

管理者Tomos 氏、Ks aka 98氏が語るウィキペディア日本語版の姿
  日本語版の成り立ちとルール形成
  日本語版運営の実情
  記事のクオリティをいかに向上させるか
  ウィキペディア日本語版が抱える今後の課題
  インタビューの終わりにあたって
アンチウィキペディアの立場から、吉本敏洋氏に聞く
  自覚のない「子どもの運営体制」
  ウィキペディアの破綻と可能性
山口貴士弁護士が見るウィキペディア日本語版
  ウィキペディアを訴えることは可能か
  投稿や編集が法に触れる可能性について
  ネット社会に法律を適用する危険

05 変わり始めるソーシャルメディア信仰

そもそもソーシャルメディアとは
  さまざまなソーシャルメディアとそこに共通する特徴
  変わってきたソーシャルメディアの認識
ユーザーは企業にコントロールされなくなった
  ユーザー主体の広告へ
  ユーザーニーズが優先される広告の場
企業と対立するソーシャルメディア
  企業に対する価値観の逆転
  変化する企業の危機管理
  ネット上で成功体験化した企業の謝罪
ソーシャルメディア対マスコミ
  インターネットの登場とマスコミ
  ソーシャルメディアに期待された役割
ソーシャルメディアが信仰に
  ネットが本当に革新したもの
  「アクセスジャーナル」の成功
  隣の人は信用できる
ソーシャルメディアが悪用され始める
  ソーシャルメディアの信頼性をマーケティングに利用する
  何を信用すればいいのか
公平性とは何か
  公正に報道するということ
  メディアリテラシーの必要性
公平性への解決策、ウィキペディアの方法と限界
  公開された情報をみんなでブラッシュアップ
  Google版ウィキペディア「knol」の方法
ネット実名への議論
  発言の信用力はどこからくるか
  「匿名」という武器
  実名と匿名のメリットを組み合わせる
変わり始める、ソーシャルメディアと企業の関係
  企業側の変化
  対等化する企業とユーザーの立場
今、ソーシャルメディアに必要なこと
  変化するネットと政治活動の関係性
  ネットとリアル、ソーシャルメディアの第二ステージ

参考文献一覧
最後に──執筆を通してみたウィキペディア
あとがき