書き写して味わう 源氏物語−悲恋編−
『書き写して味わう 源氏物語』の第3弾「悲恋編」!
一千年の時を超え『源氏物語』が
あなたの手でよみがえります
はかない愛の運命……桐壺更衣と桐壺帝あなたの手でよみがえります
破滅的な恋の行方……女三宮と柏木
二人の男性の間で懊悩……浮舟と匂宮
雅で抒情味ゆたかな筆致でつづられる
切なく美しい15の恋愛模様
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[著]伊井春樹(編) [監] [価格]1,575 円(税込) [判型]B5判/240頁 [初版]2007/06/10 [ISBN]978-4-86167-179-1 |
■ 本書について
文化史としての『源氏物語』の世界源氏物語の一千年紀───
寛弘五年(一〇〇八)十一月一日に、一条天皇と中宮彰子(父は道長)との間に生まれた、敦成親王誕生五十日の祝いが道長邸で催されました。道長にとっては初孫であり、しかも男親王ですから、いずれは皇太子となり、即位(後一条天皇となる)することは明らかです。『紫式部日記』によりますと、大半の公卿たちが集まり、盛大な祝賀だったようです。そこに、歌人としても有名な藤原公任が少し酒に酔いながら、紫式部の姿を求め、「あなかしこ、このわたりに、若紫やさぶらふ」と言いながらやって来たのです。「恐れ入りますが、若紫さんはいらっしゃいますか」と、明らかに『源氏物語』を念頭にしてのことばです。彼女は、「源氏に似るべき人も見え給はぬに」(光源氏に似た人もいらっしゃらないのに、まして若紫などとは)と、思いはしましたが、返事もしませんでした。
これが『源氏物語』についての最初の記録で、それから二〇〇八年は千年の歳月を経ることになります。これは驚くべきことで、その長い年月、忘れられることなく、しかも現代にいたるまで多くの読者を魅了してやまない作品として生き続けているのです。私たちは、千年もの間財産としてきた文化資本としての『源氏物語』を、あらためて見直し、これからの千年をどのように残していくかを、考える必要があるでしょう。
文化史としての源氏かるた、源氏投扇興、源氏双六───
『源氏物語』は成立した当初は宮中で読まれ、上流貴族が中心でしたが、『更級日記』にも書かれていますように、やがて受領層にも広がっていきます。院政期には、国宝『源氏物語絵巻』として知られる絵画としても受容され、鎌倉、室町、江戸期を通じては数多くの注釈書、ダイジェスト版などによっても読者は拡大していきました。大名家の姫君が輿入れする際には、「嫁入り本源氏物語」と呼ばれる、豪華な装丁と書写、漆の箱入りの本が作られもしました。『源氏物語』を題材にした能も多数作られて上演されましたし、歌舞伎にもなりました。さらに大衆化した遊びに、かるたや双六、それにお花や投扇興といったものがあります。『源氏物語』は五十四巻ですので、かるたの場合は五十四枚の読み札と絵が描かれた取り札からなり、札は百八枚です。これ以外にも、五十四枚の札に一巻一首の歌と、それぞれの巻にちなむ絵が描かれたかるたもあります。投扇興は江戸期後半に生まれた座敷の遊びで、台の上に「蝶」と呼ぶ的を置き、離れた場所から扇子を飛ばして投げ、扇子と的の落ちた形状から巻名による点数を争います。現代も『源氏物語』の文化の世界は増殖しており、立花に生かされ、朗読がブームになり、映画、演劇、オペラ、マンガにまでなっているのは、よく知られているところでしょう。
現代語訳となった『源氏物語』───
『源氏物語』が評判の物語だからといっても、すぐに原文が読めるわけではなく、長い作品ですし、第一にことばがむつかしいのです。そこで工夫されたのが、現代のことばに訳して味わう方法でした。明治以降になって最初に書かれたのが、与謝野晶子の明治末年から大正二年にかけての『新訳源氏物語』、二度目が昭和十三年からの『新新訳源氏物語』です。二人目の挑戦が谷崎潤一郎で、昭和十四年から十六年にかけて『潤一郎訳源氏物語』を刊行しました。ただ、これは藤壺中宮と源氏との密通事件は、戦時下ということもあり削除されました。昭和二十六年から二十九年には『潤一郎新訳源氏物語』、三十九年から翌年にはさらに改訂して『新々訳源氏物語』も出しています。その後も、円地文子、田辺聖子、瀬戸内寂聴の現代語訳がなされ、それぞれブームとなったことは知られるでしょう。
■ 目次
- 文化史としての『源氏物語』の世界
- 宇治十帖の世界
- 海外における『源氏物語』の翻訳
- 『源氏物語』の場面と絵画
- 『源氏物語』年立
- 『源氏物語』の舞台 ──建物配置図/内裏図/寝殿造り平面図
- 主要人物系図 ──桐壺〜藤裏葉/若菜上〜幻/匂宮〜夢浮橋
- 本書『書き写して味わう 源氏物語 ─悲恋編─』の楽しみ方
- 桐壺更衣と桐壺帝 (第一帖)桐壺
- 宇治十帖の世界
- 桐壺帝の更衣への異常なまでの執着
- 桐壺更衣との悲しい離別
- 藤壺中宮と桐壺帝 (第一帖)桐壺
- 先帝四の宮の噂
- 光源氏の藤壺への母恋い
- 空蝉と光源氏 (第二帖)帚木
- 空蝉の衣
- 空蝉の晩年 (第十六帖)関屋
- (第三帖)空蝉
- 空蝉の晩年 (第十六帖)関屋
- 夕顔と光源氏 (第四帖)夕顔
- 夕顔の怪奇な死
- 東山での葬送
- 葵上と光源氏 (第五帖)若紫
- 絵に描きたる姫君
- 死を前にしての心の通い (第九帖)葵
- 藤壺中宮と光源氏 (第五帖)若紫
- 藤壺中宮の懐妊
- 藤壺中宮の出家 (第十帖)賢木
- 末摘花と光源氏 (第六帖)末摘花
- 末摘花の異常な容貌
- 光源氏の訪れを待ち続けた末摘花 (第十五帖)蓬生
- (第七帖)紅葉賀
- 光源氏の訪れを待ち続けた末摘花 (第十五帖)蓬生
- 朧月夜と光源氏 (第八帖)花宴
- 光源氏との出会い
- 密かな光源氏との逢瀬 (第十帖)賢木
- (第九帖)葵
- (第十帖)賢木
- (第十一帖)花散里
- (第十二帖)須磨
- (第十三帖)明石
- (第十四帖)澪標
- (第十五帖)蓬生
- (第十六帖)関屋
- (第十七帖)絵合
- (第十八帖)松風
- (第十九帖)薄雲
- (第二十帖)朝顔
- (第二十一帖)少女
- (第二十二帖)玉鬘
- (第二十三帖)初音
- 密かな光源氏との逢瀬 (第十帖)賢木
- 玉鬘と柏木 (第二十四帖)胡蝶
- 玉鬘へのそれぞれの思い
- 玉鬘は柏木の恋心に困惑 (第二十六帖)常夏
- (第二十五帖)蛍
- (第二十六帖)常夏
- (第二十七帖)篝火
- (第二十八帖)野分
- (第二十九帖)行幸
- (第三十帖) 藤袴
- (第三十一帖)真木柱
- (第三十二帖)梅枝
- (第三十三帖)藤裏葉
- 玉鬘は柏木の恋心に困惑 (第二十六帖)常夏
- 女三宮と柏木 (第三十四帖)若菜上
- 蹴鞠の日の女三宮のかいま見
- 女三宮への最後の願いと死 (第三十六帖)柏木
- 紫上と光源氏 (第三十五帖)若菜下
- 紫上の発病
- 穏やかな死の迎え (第四十帖)御法
- 落葉宮と夕霧 (第三十六帖)柏木
- 夕霧の落葉宮邸訪問
- 夕霧は強引に落葉宮を引き取る (第三十九帖)夕霧
- (第三十七帖)横笛
- (第三十八帖)鈴虫
- (第三十九帖)夕霧
- (第四十帖) 御法
- (第四十一帖)幻
- (第四十二帖)匂宮
- (第四十三帖)紅梅
- (第四十四帖)竹河
- (第四十五帖)橋姫 宇治十帖
- (第四十六帖)椎本
- 夕霧は強引に落葉宮を引き取る (第三十九帖)夕霧
- 大君と薫 (第四十七帖)総角
- 大君との暁の別れ
- 永遠の愛を誓った大君の死
- (第四十八帖)早蕨
- 永遠の愛を誓った大君の死
- 浮舟と薫 (第四十九帖)宿木
- 大君によく似た浮舟
- 薫は浮舟を宇治に隠し据える (第五十帖)東屋
- (第五十帖) 東屋
- 薫は浮舟を宇治に隠し据える (第五十帖)東屋
- 浮舟と匂宮 (第五十一帖)浮舟
- 匂宮と浮舟との密かな逢瀬
- 浮舟は入水を決意して身辺の整理
- (第五十二帖)蜻蛉
- (第五十三帖)手習
- (第五十四帖)夢浮橋
- 浮舟は入水を決意して身辺の整理
- 源氏物語かるた
- おわりに
- 参考図書 ─『源氏物語』をもっとよく知るために─
- おわりに