九天社の跡地です…
2001.8.29-2008.6.10


世田谷一家殺人事件の真実

 表紙

“外国人三人組犯行説”の
『世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白』草思社刊
真偽を問う!!

──事件は「外国人三人組の犯行」などではない。
意外にも犯人は、被害者・宮沢さん方の近くで保護者とともに暮らし、 夕夜をパソコンとスケートボードで過ごす「半ば病める孤独な若者」だった。


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[著]山元泰生
[監]

[価格]1,575 円(税込)
[判型]四六判/244頁
[初版]2007/03/01 
[ISBN]978-4-86167-167-8

 本書について

※プロローグより抜粋

六年の歳月がもたらしたもの

犯人はいま、どこに潜んでいるのか?
二〇〇〇年一二月三〇日深夜から三一日未明にかけて、東京都世田谷区上祖師谷で起きた宮沢みきおさん(当時四四歳)一家惨殺事件。警視庁の威信をかけた大がかりな捜査にも関わらず、いまだ犯人を特定するにいたらず、したがって解決のメドもたっていない。
私は事件発生から間もなく六年が経とうとしていた二〇〇六年一二月下旬、久しぶりにこの恐るべき惨殺事件の現場を訪ねた……。
京王線「千歳烏山」駅から、南東におよそ一・五?。都立祖師谷公園の北部分の一角に、「主なき惨劇の家」は、今もなおまるで時を止めたかのように寂しげに建っていた。ここは事件の前から公園拡張のための区画整理が進んでいたところだが、今は宮沢さん宅と、棟続きの妻・泰子さん(当時四一歳)の姉夫婦宅だけが、ただ二軒残されている。犯人を逮捕したさいの現場検証に備えてのことであろう。
車の多い一一八号線(通称・仙川通り)から南へ公園道を入ると、左手の広場には、スケートボード用の大きな滑り台(半円形のバンク)が数台並んでいて、少年二人が楽しげに遊んでいた。その先を右に折れ、宮沢さん方の正面に立つと、玄関脇に小さなポリボックスが設置され、制服の警察官が一人、黙々として警備に当たっていた。
玄関はきれいに掃除され、シクラメンやパンジーなど冬場の花が数鉢並べられている。とはいえ、六年という歳月はいかにも重い。泰子さんが経営していた学習塾の看板「SOSHIGAYA PARK STUDIO」は、正面にいまも掲げられているが、外壁やドア扉とともにすっかり色あせていた。
中を窺うことはできない。玄関も窓もすべて密閉され、厚いカーテンで覆われているからだ。だが、みきおさんの父親・良行さん(七八歳)は二〇〇六年一〇月末に、担当捜査員の案内でわずか一〇分ほどではあったが、事件後初めて中に入ってみたという。
その話によると、一、二階をどす黒く染めた血痕やおびただしい数の犯人の足跡などはきれいに拭き取られ、荒らされた冷蔵庫や家具、いじられたパソコンなどもきちんと片付けられていた。捜査員らの配慮だろう、二階の居間の壁や出窓には、宮沢さん一家四人が楽しそうに笑っている写真がたくさん飾られていたのだそうだ。
長女・にいなちゃん(当時八歳)と長男・礼くん(当時六歳)が使っていた向かいの子供部屋には、学習机や二段ベッドのほか、良行さんが孫たちのために贈ったピアノも当時のまま並んでいたとのことである。
宮沢さん宅のすぐ西側を多摩川の支流・仙川が流れている。水は事件当時よりいくらかきれいになったようだ。かなりの数のカモやコサギなどが群れていた。犯人もまた歩いたにちがいない川沿いの左右の遊歩道を行き来しながら、私は事件のことを想い起こしてみた……。
事件が起きた日は、まさしく師走の大晦日にかけての深夜だった。犯人は北側の二階バスルームの小窓から侵入した。そして二階の子供部屋で寝ていた長男・礼くんを手で絞め殺したうえ、夫・みきおさん、妻・泰子さん、長女・にいなちゃんを次々に包丁で殺害。その後、一〇時間近くも宮沢さん方に留まり、パソコンに興じるなどした。犯行の様態は極めて異様で、犯行の動機が何だったかを含め、これほど謎に満ちた事件も珍しい。

一つのプロファイリングが導きだした真実

では、犯人はいったい何者なのか? いま、どこでどうしているのか?
私は、及ばずながらもこの六年間、最大の関心をもってこの事件を追いかけてきたのだが、いまはもう一度初心に返り、犯行の様態や遺留品についての再検討を加えたうえで、犯人像についても、見直しをしなければならないのではないかと考えるに至った。
捜査・事件関係者のあいだで、「外国人犯行」説や「精神障害者」説がくすぶり続けてきたことは事実である。だが、遺留品の鑑定結果や指紋の照合作業など、捜査上明らかになった証拠や事実関係からみれば、事件は絶対に、斉藤氏の言うような「外国人三人組による犯行」などではない。
私は、私なりに事件を調べ直した結果、一つのプロファイリング(犯人像推定)に辿りついた。それは斉藤説とは全く逆というか、「外国人三人組による犯行」説などとはほど遠いものである。
結論的なことを敢えてここで書くとすれば、私の辿りついた犯人像は、年齢がおそらく一〇代後半から二〇代前半。犯行時、意外にも被害者・宮沢さん方の比較的近くで保護者とともに暮らし、夕夜をスケボー(スケートボード)で過ごす「半ば病める孤独な若者」ではないか、ということである。とすれば、事件は極めて今日的で、よりいっそう深刻・悲惨であろう。なぜなら、犯人は、実に些細なことで一家を逆恨みして殺害に及び、犯行後もなにくわぬ顔で暮らしていることもありうるからだ。
六年経ったくらいで、これほどの大事件をあいまいなものにしてはならない。それが、本書をいま敢えて出版する理由である。

 目次

プロローグ 「外国人三人組による犯行」説を問う

六年の歳月がもたらしたもの
参考資料

第1章 大晦日の大惨事

無残な血の海! 鼻を突く死臭!
物色の跡、遺留品、靴跡、そして指紋……
なぜだ? 意外なものがなくなっていた
殺された宮沢さん一家はどんな人たちだったか
襲われた宮沢さん宅とその周辺

第2章 犯行の異常な様態

残酷・凄惨な殺害の全容
引き出しを荒らした重大な意味
なぜだ? 一〇時間も居座り続けた
無残! 司法解剖の所見は語る
強盗か? 怨恨か? それとも精神錯乱か?
聞き込み・ローラー作戦の悲哀
注目すべき現場周辺の目撃情報
何者だ! 東武日光駅に現れた男

第3章 遺留品が語る意外な事実

凶器――犯人が持ち込んだ柳刃包丁
靴跡から分かったテニスシューズの謎
黒いジャンパーとポケットの中身
キムタク・トレーナーの謎を追う
ヒップバッグに変なものが残っていた
黒いハンカチと高級香水の意味
お地蔵さまは何を語っているのか?

第4章 どこに潜む? 惨殺犯

犯人が残した指紋の謎
有力だった韓国人犯行説を追って……
秘かに進められたDNA捜査
覚せい剤・薬物中毒者を洗う
ホラー映画や人気ドラマの真似をした?
いまだ消せない精神障害者説
浮上してきたスケートボーダー説

第5章 半ば病める若者の肖像

捜査本部が絞り込んだ犯人像
犯人に迫る三つのポイント
私が描くプロファイリング

エピローグ 破綻した「外国人三人組による犯行」説

斉藤寅著『世田谷一家殺人事件』批判
果たして「外国人三人組による犯行」なのか?