九天社の跡地です…
2001.8.29-2008.6.10


書き写して味わう 源氏物語
情愛編

 表紙

『書き写して味わう 源氏物語』の第2弾「愛情編」!

日本最古の恋愛小説『源氏物語』が
あなたの手でよみがえります

永遠の理想の女性「桐壺更衣」
少女から大人の女性となる「紫上」
情念に身を焦がす「六条御息所」……
光源氏が特に愛した15人の女性たちの
雅やかな恋模様と人生にスポットをあてる。


※在庫があれば上記サイトで
 入手できます。

[著]伊井春樹(編)
[監]

[価格]1,575 円(税込)
[判型]B5判/240頁
[初版]2007/03/01 
[ISBN]978-4-86167-166-1

 本書について

『源氏物語』には多数の人物が登場し、それぞれ個性を持ち、一人一人が生き生きとした姿として描かれているのは、千年昔に成立した物語とはとても信じられないほどです。現代の人々が作品の世界に魅了され、胸を詰まらせるように共鳴し、登場する人物とともに嘆き、また喜ぶのも、出現して以降長い歴史を経ているにもかかわらず、読者にとって共有する世界があるからにほかなりません。作品を外から眺めて読むだけではなく、人々は物語の世界に入り込み、自分も登場する人物たちと息づきながら体験をしているためだと思われます。

確かに描かれた物語の世界は、現在から考えると平安朝のもっとも優雅な美意識と王朝文化のはなやかな時代だったのでしょう。人間はどうしても過去を美化し、「かつてはよい時代だった」と懐かしむものです。その時々に生きた人々もそうで、歴史的な変革と激動する社会を経るにしたがい、押し流された過去を振り返り、つらい時代もプラスに回想するのが世の常です。鎌倉、室町、江戸と時代の移り変わりとともに、平穏を求める人々は、かつて自分たちの祖先が生み出した王朝に、文化のよりどころと自負の思いをいたしたことでしょう。

『源氏物語』は後の読者からすればあこがれの対象であり、当時の人々もそのような思いをいだいたはずです。ただ、それだけであればこの作品は平板で、すぐに飽きられてしまい、文学を初めとする日本文化にこれほどまでに大きな影響を与えることはなかったでしょう。紫式部は、光源氏の造型だけではなく、女性たちひとりひとりの人生を煩悶しながら書き上げていきました。それ以前の物語が、苦難の末に「めでたし、めでたし」で終わっていたのを、作者は人間の存在そのものを探索する手を緩めようとはしませんでした。

豊かな生活を謳歌した紫上は幸せな生涯のように思われますが、果たしてそうだったのでしょうか。紫上は光源氏の伴侶として相互の信頼のもとに生きてきたようでありながら、女三宮の降嫁により彼女の心は不信によって蝕まれ、それが命を縮める結果にもなったのです。女三宮とて自意識をもって生きる方法は、光源氏から離れた出家の道でした。藤壺中宮の女性として生きる苦悩、朝顔姫君が自立して生きようとする姿、私どもはそこにみやびだけではない、人間のドラマを見るのです。

平成十九年二月
伊井春樹

 目次

『源氏物語』が書かれた背景と紫式部

『源氏物語』の読者たち

『源氏鬢鏡』について

 源氏香について

『源氏物語』年立

『源氏物語』の舞台

平安京図/内裏図/寝殿造り平面図

絵で見る名場面と調度品

主要人物系図

桐壺〜藤裏葉/若菜上〜幻

本書『書き写して味わう

源氏物語─情愛編─』の楽しみ方

◆本書十五章構成◆

桐壺更衣(第一帖)桐壺
藤壺宮の入内
桐壺更衣によく似た藤壺宮

空蝉(第二帖)帚木
空蝉との逢瀬
空蝉の悲しみ

(第三帖)空蝉

夕顔(第四帖)夕顔
夕顔の魅力にとりことなる光源氏
夕顔にとり憑いた物の怪

藤壺中宮(第五帖)若紫
画策して忍び入っての密会
藤壺の懐妊

末摘花(第六帖)末摘花
雪明かりの末摘花の姿
貧窮した生活

(第七帖) 紅葉賀

朧月夜(第八帖)花宴
細殿での出会い
取り交わす扇

葵上(第九帖)葵
出産後の葵上
夫への最後のまなざし

紫上(第九帖)葵
若紫との新枕
亥の子の餅

六条御息所(第十帖)賢木
晩秋に野宮を訪れる
六条御息所との暁の別れ

花散里(第十一帖)花散里
麗景殿女御と昔語り、花散里訪問
昔をしのぶ橘の宿り

(第十二帖)須磨

明石君(第十三帖)明石
月入れたる真木の戸口
かたくなな明石入道の娘

秋好中宮(第十四帖)澪標
母御息所を失った斎宮を弔問
斎宮へのゆれ動く心と処遇の決断

(第十五帖)蓬生
(第十六帖)関屋
(第十七帖)絵合
(第十八帖)松風
(第十九帖)薄雲

朝顔姫君(第二十帖)朝顔
朝顔への恋の訴え
源氏の求婚を拒み、仏道への勤め

(第二十一帖)少女
(第二十二帖)玉鬘
(第二十三帖)初音

玉鬘(第二十四帖)胡蝶
母夕顔を思い出させる玉鬘
養女へのやるせない恋の思い

(第二十五帖)蛍
(第二十六帖)常夏
(第二十七帖)篝火
(第二十八帖)野分
(第二十九帖)行幸
(第三十帖)藤袴
(第三十一帖)真木柱
(第三十二帖)梅枝
(第三十三帖)藤裏葉
(第三十四帖)若菜上

女三宮(第三十五帖)若菜下
小侍従の手引きによる柏木との逢瀬
涙ながらの柏木の恋情

(第三十六帖)柏木
(第三十七帖)横笛
(第三十八帖)鈴虫
(第三十九帖)夕霧
(第四十帖)御法
(第四十一帖)幻
(第四十二帖)匂宮
(第四十三帖)紅梅
(第四十四帖)竹河
(第四十五帖)橋姫 宇治十帖
(第四十六帖)椎本
(第四十七帖)総角
(第四十八帖)早蕨
(第四十九帖)宿木
(第五十帖)東屋
(第五十一帖)浮舟
(第五十二帖)蜻蛉
(第五十三帖)手習
(第五十四帖)夢浮橋

源氏香図と各巻の和歌