九天社の跡地です…
2001.8.29-2008.6.10


源氏物語
書き写して味わう

 表紙

古典文学の最高傑作

『源氏物語』があなたの手で
よみがえります。

源氏物語研究の第一人者が、
もっとも諳んじてほしい優雅な箇所を厳選。
与謝野晶子による大胆な名訳と、
歌人晶子の「源氏物語礼賛」全54帖54首を収載。
王朝文学の雅な世界に、彩を添える。


※在庫があれば上記サイトで
 入手できます。

[著]伊井春樹(編)
[監]

[価格]1,470 円(税込)
[判型]B5判/240頁
[初版]2007/01/01 
[ISBN]4-86167-144-2

 本書について

『源氏物語』への招待

◆いつの御代なのか
『源氏物語』は、「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなききはにはあらぬが、すぐれてときめきたまふありけり」と語り始められます。「いつの御代なのでありましょうか」と、時代は明らかにされなく、ある天皇のもとに「多くの女御や更衣たちがお仕えしている中に、それほど高い身分ではありませんが、とりわけ寵愛されていらっしゃる方がいました」と、不安な運命をかかえた、一人の孤立した女性が紹介されます。読む者は、「いつごろの話なのであろうか」とか、「この女性はどのようになるのであろうか」と、すぐさま物語の世界に引き込まれていきます。
 天皇のもとには、最高位の后(中宮)のほか、女御、更衣といった女性たちが入内し、それぞれ家柄によって身分が決められていました。桐壺更衣は父が大納言どまり、そのため帝は彼女が亡くなった後、「せめて女御にでもしたかったのに」と思ったところで、それはかなわない話でした。多くの女御や更衣がいるにもかかわらず、桐壺帝は彼女だけを特別扱いにするのですから、まわりの女性たちは恨めしく思わないはずはありません。
 見えないところで「いじめ」を受け、その重なりが病となり、男御子(光源氏)が生まれますが、三歳の夏に命を失ってしまいました。

◆楊貴妃の例
『源氏物語』は深く読めば読むほど、その背後にさまざまな仕掛けがあるのがわかってきます。一人の女性への寵愛、そこから玄宗皇帝と楊貴妃との事件が連想されてくるはずです。皇帝は楊貴妃に夢中になり、政治もおろそかにした結果反乱が勃発し、都は占拠されてしまいます。皇帝は西へと逃げる途中、兵士たちにも不穏な動きが生じ、楊貴妃を殺さざるを得なくなります。桐壺帝の臣下もこのような例をあげ、桐壺更衣への傾倒ぶりを批判するありさまです。このままであれば帝は退位に追いやられるという、危機的な政治情勢の到来です。読者は楊貴妃と桐壺更衣とを重ねて読み、どうなるのかと心配したはずです。
 桐壺帝の時代は不明としながらも、伊勢とか貫之といった実在の人物の言及があり、語られる内容からも醍醐天皇がモデルであるらしいと知られてきます。すると、紫式部の生きた時代からは百年ばかり昔に舞台が設定された、いわば時代物だったということになります。今日からすれば、明治時代の事件を扱った作品ということになりましょうか。

◆母恋い
 桐壺帝は、母を失った若宮を皇族としてではなく、「源」の姓を与えて臣下とし、政治家として生きる道を歩ませることにしました。このようにして主人公は「源さん」、敬意を付して「源氏」と呼ばれました。名前は「源○○さん」とあったはずですが、そこまでは記されていません。母親を早く失ったため、源氏にはまったく記憶がありません。ただ、母親の話を聞くにつけ、自分にはいないだけに恋しい思いはしたことでしょう。
 光源氏が十二歳で元服する前に、桐壺更衣によく似ているという先帝の四の君(藤壺)が入内し、彼は母親のように慕い、そばにいることも父帝から認められてもいました。ところが、元服とともにそれはかなわなくなりますと、彼は母親に会いたい思い、それが藤壺への恋慕となり、理想的な女性像へと展開し、密通による子供(冷泉院)まで生まれてしまったのです。源氏の恋物語は母の死による〈母恋い〉から始まり、栄華をきわめるのは密通による宮の誕生が根底にはあったことになります。

 目次

『源氏物語』への招待

紫式部と源氏物語

与謝野晶子と源氏物語現代語訳・源氏物語礼賛

『源氏物語』年立

源氏物語の舞台

平安京周辺図/平安京図/光源氏退去の地/内裏図

主要人物系図

桐壺〜藤裏葉/若菜上〜幻

本書『書き写して味わう 源氏物語』の楽しみ方

◆本書十五帖構成◆

桐壺(第一帖)

桐壺更衣の寵愛
若宮誕生

帚木(第二帖)

空蝉(第三帖)

夕顔(第四帖)

物の怪の登場と夕顔の怪死

若紫(第五帖)

光源氏のわらわ病み
少女若紫の発見

末摘花(第六帖)

紅葉賀(第七帖)

花宴(第八帖)

葵 (第九帖)

葵上の物の怪による悩み
六条御息所の苦悩

賢木(第十帖)

光源氏の藤壺中宮への恋情
朧月夜との密会露見

花散里(第十一帖)

須磨(第十二帖)

光源氏の須磨への退去
暴風雨の災難

明石(第十三帖)

明石君への通い
光源氏の帰京

澪標(第十四帖)

蓬生(第十五帖)

関屋(第十六帖)

絵合(第十七帖)

松風(第十八帖)

明石君の上京
紫上に明石姫君養育の求め

薄雲(第十九帖)

明石姫君の引き取り
薄雲女院の逝去

朝顔(第二十帖)

少女(第二十一帖)

玉鬘(第二十二帖)

初音(第二十三帖)

胡蝶(第二十四帖)

蛍 (第二十五帖)

常夏(第二十六帖)

篝火(第二十七帖)

野分(第二十八帖)

行幸(第二十九帖)

藤袴(第三十帖)

真木柱(第三十一帖)

梅枝(第三十二帖)

藤裏葉(第三十三帖)

明石姫君、春宮へ入内
光源氏の准太上天皇

若菜上(第三十四帖)

女三宮の光源氏への降嫁
柏木の女三宮への恋慕

若菜下(第三十五帖)

紫上の病臥
柏木と女三宮との密会

柏木(第三十六帖)

女三宮男児を出産
柏木の死去

横笛(第三十七帖)

鈴虫(第三十八帖)

夕霧(第三十九帖)

御法(第四十帖)

紫上の死
悲しみの光源氏

幻 (第四十一帖)

紫上の一周忌
光源氏、出家の準備

匂宮(第四十二帖)

紅梅(第四十三帖)

竹河(第四十四帖)

橋姫(第四十五帖) 宇治十帖

椎本(第四十六帖)

総角(第四十七帖)

早蕨(第四十八帖)

宿木(第四十九帖)

東屋(第五十帖)

浮舟(第五十一帖)

蜻蛉(第五十二帖)

手習(第五十三帖)

夢浮橋(第五十四帖)

源氏物語礼賛 与謝野晶子

おわりに

参考図書 『源氏物語』をもっとよく知るために